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【クローズアップ現代】孤立死・孤立死の深層:若者へ広がる危機と社会の応答、その実態と未来への展望【5月13日】

2025年5月13日にNHKで放送された「クローズアップ現代『小さな“孤独”が命を… 初の全国推計 孤独死・孤立死の実相』」では、現代日本社会が抱える深刻な問題である孤立死・孤独死の現状が浮き彫りにされました。

この記事を読めば、番組で明らかにされた政府による初の全国推計の詳細、孤立死が決して高齢者だけの問題ではなく若者にも広がっている衝撃的な実態、そしてその背景にあるセルフ・ネグレクト人間関係の希薄化といった社会構造の問題点が分かります。

さらに、この問題に長年取り組む専門家の分析や、困難な状況にある人々を支えようとするNPOのユニークな活動、そして私たち一人ひとりがこの問題とどう向き合い、どのような社会を目指すべきかという未来への展望についても深く理解することができるでしょう。

社会全体で考えるべきこの課題について、具体的なデータや取り組みを交えながら詳しく解説します。

目次

クローズアップ現代「小さな“孤独”が命を…」

この番組では、これまで見えにくかった孤立死・孤独死という問題の深刻な実態が、初めての全国規模の推計データと共に示されました。

単なる個人の問題ではなく、社会全体で向き合うべき課題であることが改めて浮き彫りになったのです。

2万人超の孤立死…若者へも広がる衝撃の実態

2024年に内閣府の有識者会議が発表した初の全国推計によると、自宅で誰にも看取られることなく亡くなり、社会的に孤立していたとみられる「孤立死」は、全国で2万1856人に上りました。

この数字は、警察庁が取り扱う遺体のうち、自宅で死亡した一人暮らしの人で、死後8日以上経過して発見されたケースを集計したものです。

「孤立死」は、「誰にも看取られることなく死亡し、その遺体が一定期間後に発見されるような死亡の態様」と定義されています。

この問題は、高齢者だけの話ではありません。

孤立死者全体の7割は65歳以上の高齢者ですが、若年層も少なからず含まれています。

例えば、20代の孤独死は孤独死全体の5%を占めており、特に20代女性の孤独死の発生比率は、人口比や単身者比率を考慮すると男性よりも高い7.9%(男性は4.4%)というデータがあります。

内閣府の令和6年の推計でも、15歳から39歳までの孤立死は合計で291件報告されており、決して無視できない数字です。

注目すべきは、この推計には自殺者が除外されていない点です。

孤立が自殺の一因となる可能性や、孤立した状況下で自殺が起こりうる現実は否定できません。

実際に20代の死因の第一位は男女ともに自殺であり、若年層の孤独死の多くが自殺と関連している可能性が高いのです。

発見までの期間が長引くほど、その人の孤立が深刻であったことを示唆しており、参考として死後4日以上経過したケースでは、2024年の孤立死は3万1843人に増加します。

これは、早期発見と介入の必要性を強く示しています。

なぜ?セルフ・ネグレクトと希薄化する現代の絆

孤立死に至る背景には、様々な要因が複雑に絡み合っていますが、その一つに「セルフ・ネグレクト(自己放任)」があります。

これは、食事や入浴、医療の受診といった基本的な身辺の世話を自ら放棄したり、拒否したりすることで、心身の安全や健康が著しく損なわれる状態のことです。

ある推計では、孤独死した人々の約8割がセルフ・ネグレクトの状態にあったとされています。

セルフ・ネグレクトに陥る原因は、認知症の進行やうつ病などの精神疾患、加齢や病気による身体機能の低下、そして配偶者との死別や失業、経済的困窮といったライフイベントが引き金となることもあります。

若年層においても、精神的な問題や深刻な貧困、社会からの孤立が原因で同様の状態に陥るケースがあります。

問題の根深さは、本人が自身の状態を問題と認識していなかったり、支援を拒否したりする場合が多く、周囲からの援助が届きにくい点にあります。

さらに、現代社会における人間関係の希薄化も大きな要因です。

かつて日本社会を特徴づけていた地縁、血縁、職場との縁(社縁)といった共同体的なつながりが薄れ、「無縁社会」と形容されることもあります。

2020年の国勢調査では単独世帯が全世帯の4割近くに達し、一人暮らし世帯の増加がこの傾向を加速させています。

近隣住民との付き合いも減少し、都市部では隣人の顔も知らないという状況も珍しくありません。

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は新たなつながりの形を提供しますが、その関係が表面的なものに留まりがちであったり、他者と比較することで劣等感や孤独感を助長したりする側面も指摘されています。

加えて、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、人々の物理的な接触機会を著しく制限し、社会全体の孤独感や孤立感を一層深刻化させました。

特に、社会経済的に脆弱な立場にあった若年層や一人暮らしの人々において、孤独感が高い傾向が見られました。

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